2014年1月12日15時頃、アクアダイブコホロの太田健二郎さんが加計呂麻島薩川湾鳥瀬の浜において死亡漂着しているミナミバンドウイルカ1個体を発見しました。
奄美クジラ・イルカ協会では、翌日の2014年1月13日に瀬戸内町文化遺産活用実行委員会の協力のもと、来島中の岡部晴菜さん(沖縄美ら島財団総合研究センター)に参加して頂き、 外部計測および解剖を行い、研究試料および全身骨格を採取しました。死亡漂着した個体は体長230cmの雄で、奄美大島周辺海域に分布する推定約150〜200頭の地域個体群のうちの1頭とみられており、今後、全身骨格標本を作成し、瀬戸内町へ寄贈し有効活用して頂く予定です。
奄美大島地域個体群は、研究機関(沖縄美ら島財団総合研究センター・三重大学大学院生物資源学研究科)により個体識別が実施されていて(未発表資料)、クジラ・イルカ協会も出現記録や個体識別調査を進めていますが、残念ながら解剖時に死亡漂着個体の背びれ右側に刺さっている長さ9.3cmのステンレス銛が見つかりました。直接の死亡原因は不明ですが、銛は前方から斜め約45°の角度で体内へ約5cm打ち込まれていて、銛周辺の脂皮は黒色に変色していました。
ミナミバンドウイルカ奄美大島地域個体群は、イルカウォッチング対象種として貴重な地域資源でもあり、持続的な保全と活用が求められています。